経済人

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小泉進次郎が提言した「健康ゴールド免許」を私が支持する理由

「健康ゴールド免許」なるものの導入が検討されています。
まだ詳細なところは詰めていないのでしょうが、健康管理に勤めた人を対象に、医療保険の自己負担を3割から2割に引き下げるそうです。
年金の受給年齢を70歳からさらに引き上げると同時に、健康を維持するために努力している人へのインセンティブを導入する施策です。今後、こういう形の社会保障改革は進んでいくと思われます。

健康ゴールド免許・勤労者皆保険… 小泉進次郎氏ら提言:朝日新聞デジタル

しかし、「健康ゴールド免許」と、それを打ち出した小泉進次郎氏、あるいはその背景である安倍政権への批判が噴出しています。

健康ゴールド免許を批判する声

ネット上の声をまとめると

  • 長谷川豊の「透析患者」炎上と同じようなもので、自業自得で病気になったものは切り捨てるという野蛮な思想
  • ロジックとしては長谷川豊とまったく同じじゃないか!
  • 「健康」はそれ自体が目的であり、健康になること自体にインセンティブをつけるのは行き過ぎている
  • 単なる社会保障の切り下げに過ぎない
  • 小泉進次郎の化けの皮が剥がれたな、やっぱりコイツは小泉純一郎と同じように弱者の敵だ
  • 天下り先の確保ご苦労さまです
  • 医療予防に医療費抑制の効果はないという研究結果もある
  • 「ゴールド免許」という名称が最悪、病気になることは「違反」なのか?
  • 何をもってして「健康管理に勤めた」ということになるのか
  • 努力すれば誰もが健康になれるわけじゃないだろう

などなど、政策に対する疑問や手厳しい批判が続いていますね。
しかし、私自身の意見としては、「健康ゴールド免許」は歓迎される政策だと思っています。

私が思う「健康ゴールド免許」の悪いところと良いところ

まず、「健康ゴールド免許」の悪いところから述べます。
ネットでも言う人がいましたが、まず「名前」が圧倒的に悪いですね。ネーミングを考えた方はあまりに配慮が足りないと思います。

要は、「健康を維持しようとすることへのインセンティブ」を与える施策だと思うのですが、それを自動車免許になぞらえるというのは最悪ですね。
自動車で「事故を起こす」ことが、「病気になる」ことに対応しているので、これは相当に酷いと思います。批判する立場の方からすれば「本当の意図が透けて見えるな……」となるのかもしれませんが、私は別にそうは思いません。単純に頭が足りなかっただけのように思います。
たしかに「ゴールド免許」というのは、わかりやすさとキャッチーさがあると思いますが、実際の政策では、もう少し良い名前で打ち出していただけることを希望します。

次に、ゴールド免許の良いと思うところを述べますが、特に私が良いと思っているのが以下の2つの点です。

  • QOLの向上につながること
  • 若者優遇施策であること

「健康ゴールド免許」はQOLの向上に繋がる

「健康」は、それ自体に価値がある、といったものです。
そして、「健康になろうと努力する」ことに対するインセンティブの導入は、財政や経済の問題抜きにして、国民のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上に寄与する可能性があります。

もちろん「健康」や「健康のための努力」はあまりにも漠然としすぎているので、何らかの定量的な指標を持ち出す必要があります。
朝日新聞の記事によると、「定期検診などで健康管理に努めた人」とあります。たしかに、定期検診などは病気の早期発見に繋がり、予防医療において最も必要なことですが、なかなか行くのが面倒くさい。私も億劫に感じて、行かなければと思っているのですが何度もサボってしまっています。
こういうものに、制度的にインセンティブをつけるというのは非常に良い。

他にどんな施策をするのかはわからりませんが、「健康」への努力を制度的に規定しようとする以上は、あまり「トンデモ」なものにはならないように思います。

「健康ゴールド免許」は若者優遇施策である

政策は、つまるところ税の配分の問題です。あらゆる問題を解決するような優れたアイデアを望むのは難しいと考えます。(そのようなものがあるべきだ、という想定で政治を語る人は多いですが……)

もちろん、小泉進次郎氏の意図として、健康ゴールド免許でインセンティブを作り出すと同時に(あるいはそれに本当の意図から目を逸らす役割を期待して)、社会保障を削減しようというのはあるでしょう。
しかし、社会保障の額を抑えるのは、社会保障そのものを維持することに繋がるし、このまま医療費が膨れ上がっていく現状を放っておけるわけもありません。

私が評価する点は、「健康」へのインセンティブが、若者優遇に繋がるということです。
「若者」と「高齢者」を比較すると、若者のほうが健康である比率は圧倒的に高いでしょう。健康なものを優遇する(不健康な者を冷遇する)ということは、そのまま若者支援に繋がるのです。

現状、高齢者の比率が多いことから、ほとんどすべての政策は若者冷遇に向かいます。老人がサロンのように病院を使う一方で、子供を産もうとする若い親に補償が行き届きません。このような傾向は、今後ますます進んでいく可能性すらあります。

そんな中で、若者を優遇する施策を打ち出すのは並大抵のことではありません。
しかし、「健康」に対する優遇という形で、若者に有利な制度を作り出したという点に、私は小泉進次郎氏の才能を感じます。


以上の点により、色々な瑕疵や矛盾は避けられないにしろ、私は「健康ゴールド免許」として提言されたものや、それに準じる施策を歓迎したいと考えます。


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